建設業

建設業は、他の業種より助成金の選択肢が多い業界です。一般的な制度に加えて、建設業だけを対象にした専用の助成金が複数用意されているためです。技能講習の費用、若手や女性の採用・定着、建設キャリアアップシステムの活用まで、幅広く支援の対象になります。

一方で、現場ごとに人が動き、直行直帰も多い業種のため、申請に必要な勤怠や賃金の記録を整えるのが難しいという事情もあります。このページでは、建設業で使える制度と、申請を進めるための準備を整理します。

建設業が抱える3つの課題と助成金

職人の高齢化と若手の不足

就業者の高齢化が進む一方、若手の入職は限られています。採用しても定着しなければ、教育にかけたコストが回収できません。この課題には、正社員化を支援する制度と、若年者・女性の定着を支援する建設業専用の制度が使えます。

時間外労働の上限規制への対応

建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています。工期と人員の制約があるなかで労働時間を管理するには、現場の勤怠を正確に把握する仕組みが欠かせません。労働時間の削減や勤務間インターバルの導入に取り組む場合は、働き方改革推進支援助成金の対象になることがあります。

社会保険加入と処遇改善の要請

公共工事を中心に、社会保険加入や建設キャリアアップシステム(CCUS)への対応が求められる場面が増えています。処遇改善の取り組みそのものが、助成金の対象になる仕組みが整っています。

建設業で使える主な助成金

制度名対象となる取り組み金額の目安
キャリアアップ助成金有期雇用の職人を正社員に転換する1人40万〜80万円
人材開発支援助成金
(建設労働者技能実習コース)
足場の組立て、玉掛け、車両系建設機械などの技能講習を受講させる受講料・賃金の一部
人材開発支援助成金
(建設労働者認定訓練コース)
認定職業訓練を実施または受講させる経費・賃金の一部
人材確保等支援助成金
(建設キャリアアップシステム等活用促進コース)
CCUSを活用して技能者の処遇を改善する上限160万円
人材確保等支援助成金
(若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース)
現場見学会、技術研修、女性向けキャリアパスの整備など取り組みの経費の一部
業務改善助成金賃上げとあわせて生産性向上の設備を導入する上限600万円
トライアル雇用助成金経験のない求職者を試行雇用する1人あたり月額の定額助成

建設業専用の制度は、建設事業主や建設事業主団体を対象としたものが中心です。制度によっては団体向けの区分が主となるため、自社が直接申請できるかは事前の確認が必要です。

若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コースは、令和8年4月の改正で定着助成(1人あたり42万円)が新設されました。採用だけでなく、定着まで含めた支援に広がっています。

まず検討したいのは職人の正社員化

建設業で最も取り組みやすいのが、キャリアアップ助成金の正社員化コースです。有期雇用で働いている職人を正社員に転換すると、中小企業なら1人あたり40万円、勤続3年以上などの重点支援対象者であれば80万円が支給されます。

たとえば、こんなケース

勤続5年の有期雇用の職人2名を正社員に転換。あわせて、就業規則に正社員転換制度を新たに規定。

・重点支援対象者に該当するため、1人80万円 × 2名 = 160万円

・正社員転換等制度の規定に関する加算(1事業所1回)= 20万円

合計180万円が受給の目安(要件を満たした場合)

採用が難しい今、正社員化は定着策としても有効です。処遇を改善しながら資金も確保できるため、優先順位の高い取り組みといえます。

順番を間違えると受給できません。キャリアアップ計画書の提出と就業規則への転換規定の追加は、正社員化の前に済ませる必要があります。すでに正社員にしてしまった方は対象外です。

技能講習の費用も助成の対象に

建設業では、玉掛け、足場の組立て等作業主任者、車両系建設機械の運転など、業務に必要な技能講習が数多くあります。これらの受講費用と、受講中の賃金の一部が、人材開発支援助成金の建設労働者技能実習コースで助成されます。

「どうせ受けさせる講習」であれば、助成金の対象にできないか確認する価値があります。ただし、事前の計画届が必要なため、受講を申し込む前の確認が前提です。

建設業で申請がつまずきやすいポイント

  • 一人親方は対象外。助成金は雇用している従業員が前提です。請負契約の一人親方は、原則として対象労働者に含まれません。
  • 雇用保険に未加入だと申請できない。多くの制度で雇用保険の適用事業所であることが要件です。労働保険料の滞納があっても対象外になります。
  • 現場ごとの出勤記録がそろわない。直行直帰や現場移動が多く、紙の日報や手書きの出勤簿では、申請に必要な期間分の記録を整えるのに時間がかかります。
  • 日給月給の賃金計算が複雑。賃金の3%増額などの要件を確認する際、手当の扱いを誤ると要件を満たさなくなります。
  • 会社都合の離職者がいる。一定期間内に会社都合の退職者が出ていると、対象外になる制度があります。

現場の勤怠管理をクラウド化するメリット

建設業の助成金申請でネックになるのは、制度の複雑さよりも記録の整備です。申請時には、対象者の出勤簿と賃金台帳を数カ月分そろえる必要があります。現場が複数あり、職人がそれぞれ別の場所に向かう業種では、この作業が特に重くなります。

スマートフォンから打刻できる勤怠管理を導入すれば、現場に直行しても記録が自動的に残ります。事務所で日報を集計し直す手間がなくなり、労働時間の上限規制への対応状況もその場で把握できます。

「リブオフィスクラウド」は、勤怠・給与・労務の管理をクラウド化しながら、助成金の申請に必要な帳票を出力できるツールです。導入コストは0円で、制度選びから申請の進め方までは専門スタッフがサポートします。

建設業で使える助成金を無料で診断

職人の雇用形態と今後の予定から、対象となる可能性のある制度をご案内します。

無料診断に申し込む

相談から受給までの流れ

  1. 無料診断のお申し込み

    職人の人数、雇用形態、今後の採用や正社員化の予定などをご入力ください。

  2. ヒアリング・制度のご提案

    担当者から連絡し、対象となりそうな制度と着手前に必要な手続きをご案内します。

  3. ツール導入・書類の整備

    勤怠・賃金の記録を整えながら、計画書や就業規則の準備を進めます。

  4. 取り組みの実施・申請

    正社員化や技能講習を計画どおり実施し、期限内に申請します。

よくある質問

従業員5人の工務店でも対象になりますか。

なります。むしろ規模が小さいほど手厚く設定されている制度もあります。雇用保険に加入している従業員がいることが前提です。

一人親方に外注していますが、助成金は使えますか。

請負契約の一人親方は対象労働者に含まれません。ただし、直接雇用に切り替える場合は、正社員化に関する制度の対象になる可能性があります。

タイムカードがなく、手書きの出勤簿ですが申請できますか。

申請自体は可能ですが、記載内容と賃金台帳の整合性が求められます。記録に不備があると差し戻しの原因になるため、この機会に記録の仕組みを整えることをおすすめします。

公共工事の入札で有利になりますか。

助成金の受給自体が直接評価されるわけではありませんが、社会保険加入や処遇改善、CCUSへの対応は、経営事項審査や元請からの評価につながる要素です。

複数の制度を同時に使えますか。

制度が異なれば併用できる場合があります。ただし、同じ取り組みや同じ経費に対する重複受給はできません。組み合わせは事前にご相談ください。

まとめ

建設業は、正社員化、技能講習、若手・女性の定着支援、CCUSの活用と、使える助成金が多い業種です。一方で、雇用保険への加入と記録の整備という前提条件があり、ここでつまずく会社が少なくありません。

逆に言えば、勤怠と賃金の記録を整えるだけで、受給できる制度の幅が一気に広がります。今後採用や正社員化を予定しているなら、着手前に無料診断でご確認ください。

※本ページは令和8年度(2026年度)時点の公表情報をもとに作成した一般的な解説です。支給額・要件・対象者は変更される場合があります。申請にあたっては、厚生労働省および管轄労働局の最新情報を必ずご確認ください。