会計ソフトや勤怠管理システム、POSレジなどの導入費用を支援する「IT導入補助金」は、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わりました。制度の骨格は従来どおりで、補助上限は最大450万円、補助率は2分の1から5分の4です。
このページでは、この制度の内容と、あわせて検討したい設備投資系の補助金を整理します。
「IT導入補助金2026」を探している方は、このデジタル化・AI導入補助金が該当します。制度が廃止されたわけではなく、名称を変えて継続しています。
助成金との違いを先に押さえる
ここまでご紹介してきた助成金と、この補助金は仕組みが大きく異なります。
| 比較項目 | 助成金(厚生労働省) | この補助金(経済産業省系) |
|---|---|---|
| 受給の可否 | 要件を満たせば原則受給 | 審査で採択された事業者のみ |
| 直近の採択率 | — | 全体で約44%(2026年9月公表の3次締切分) |
| 申請時期 | 通年のものが多い | 締切が設定された公募制 |
| 申請方法 | 自社で労働局へ | 登録されたIT導入支援事業者と共同で申請 |
採択率は通常枠で40%台前半が続いており、半数以上が不採択という状況です。確実性を求めるなら助成金、金額の大きさを狙うなら補助金という使い分けになります。
デジタル化・AI導入補助金の5つの枠
| 申請枠 | 補助額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 通常枠(1プロセス以上) | 5万〜150万円未満 | 2分の1(一定要件で3分の2) |
| 通常枠(4プロセス以上) | 150万〜450万円 | 2分の1(一定要件で3分の2) |
| インボイス枠(ソフトウェア) | 〜350万円 | 3分の2(50万円以下の部分は4分の3、小規模事業者は5分の4) |
| インボイス枠(ハードウェア) | PC・タブレット10万円まで/レジ・券売機20万円まで | 2分の1 |
| セキュリティ対策推進枠 | 5万〜150万円 | 2分の1(小規模事業者は3分の2) |
このほか、10者以上が連携して取り組む「複数者連携デジタル化・AI導入枠」があります。
上限450万円になるのはどんな場合か
最大450万円が適用されるのは、通常枠で4つ以上の業務プロセスをカバーするソフトウェアを導入する場合だけです。業務プロセスとは、顧客対応・販売支援、決済・債権債務管理、供給・在庫・物流、会計・財務・経営、総務・人事・給与・労務などの区分を指します。
1〜3プロセスの導入では上限が150万円未満で頭打ちになるため、どの業務まで含めるかが補助額を大きく左右します。
補助額の目安
・会計+人事労務+在庫+顧客管理の基幹システム600万円(通常枠4プロセス)→ 補助率2分の1で300万円
・クラウド会計ソフト2年分150万円(インボイス枠)→ 中小企業で約105万円、小規模事業者で約108万円
・POSレジ+会計ソフト(インボイス枠)→ 合計125万円の投資で約81万円
対象経費×補助率と、枠ごとの上限額の低いほうが補助額になります
対象になるツールと、ならないもの
対象は、事務局に登録され審査を通過したITツールに限られます。市販のソフトでも未登録なら対象外です。
- 勤怠・給与・労務管理システム、クラウド会計、電子契約
- 受発注・在庫管理、請求書発行、POSレジソフト
- 予約管理、ECサイト構築、CRM・SFA、グループウェア
- 飲食店向けオーダーシステム、施工管理システム、電子カルテ
- AI-OCR、AI議事録、需要予測など、AI機能付きとして登録されたツール
- パソコン・タブレット・レジの単体購入(インボイス枠でソフトと同時導入なら対象)
- 事務局に登録されていないツール
- 「汎用・自動化・分析ツール」だけの申請(他のプロセスとの組み合わせが必要)
- 交付決定前に発注・契約・支払いをしたもの
勤怠・給与・労務管理のシステムは通常枠の対象プロセスに含まれます。ただし補助対象になるのは登録済みのツールに限られるため、導入を検討しているツールが登録されているかは公式サイトのITツール検索でご確認ください。
申請の流れと必要な準備
GビズIDプライムを取得する
書類申請では発行まで1週間程度かかります。マイナンバーカードがあればオンラインで即日発行も可能です。
SECURITY ACTIONを宣言する
情報セキュリティ対策への取り組みを自己宣言する制度で、一つ星または二つ星の宣言が申請要件です。
IT導入支援事業者とツールを選ぶ
この制度は支援事業者と共同で申請します。支援事業者からの招待がないと申請マイページを開設できません。
交付申請する
申請者が基本情報・財務情報・事業計画を、支援事業者がツール情報を入力します。
交付決定後にツールを発注・契約・支払い
交付決定前の発注は対象外です。
事業実績報告・補助金の受け取り
受け取り後も、定められた期間に効果報告が必要です。
支援事業者選びが最初の関門です。1つの申請で組めるのは1社のみで、提出後の変更はできません。複数のツールを導入する場合は、すべてを取り扱っている支援事業者を選ぶ必要があります。取引のある会計ソフトの販売代理店などが登録されていることも多いため、まず現在の取引先に確認するのが近道です。
申請時の主な要件
交付申請の翌事業年度から3年間の事業計画を作り、労働生産性を1年後に3%以上、期間平均で年3%以上向上させる目標が求められます(過去に採択歴がある場合は4%以上)。また、事業場内最低賃金の引き上げ目標が未達の場合は、年度に応じて補助金の返還が必要になることがあります。
あわせて検討したい設備投資系の補助金
| 制度名 | 主な用途 |
|---|---|
| 中小企業省力化投資補助金 | 人手不足解消のための機械・ロボット等の導入。カタログから選ぶ型と、オーダーメイド型がある |
| 小規模事業者持続化補助金 | 販路開拓のための広告、ウェブサイト制作、店舗改装など |
| ものづくり・新事業進出関連の補助金 | 新製品開発や生産プロセス改善、新分野展開のための設備投資 |
| 業務改善助成金 | 賃上げとセットの設備投資。審査による採択がなく、要件を満たせば受給できる |
2027年度は制度の再編が見込まれています。デジタル化・AI導入補助金と中小企業省力化投資補助金を統合し、「省力化・デジタル化・AI投資補助金」として実施する方針が示されています。現行の枠組みで申請できるのは2026年度が最後になる可能性があります。
補助金と助成金、どちらを先に検討すべきか
結論としては、まず助成金、次に補助金という順番が現実的です。助成金は要件を満たせば受給でき、採択率を気にする必要がありません。補助金は採択されなければゼロになるため、それだけを当てにした資金計画は立てにくいのが実情です。
その点、勤怠・給与・労務のクラウド化は、補助金の採否にかかわらず進める価値があります。日々の管理が効率化されるうえ、助成金の申請に必要な書類がそのまま整うためです。
「リブオフィスクラウド」は導入コスト0円で始められるクラウドツールです。まずは助成金の受給可能性を確認し、そのうえで設備投資の計画に応じて補助金を検討する。この進め方であれば、採択結果に左右されずに手元の資金を増やせます。
よくある質問
IT導入補助金は廃止されたのですか。
廃止ではありません。2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更して継続しています。対象者、申請方法、枠構成、補助上限450万円といった基本設計は引き継がれています。
個人事業主でも申請できますか。
できます。開業届を提出し、事業としての実態があることが前提です。小規模事業者の目安は、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)で従業員5人以下、宿泊業・娯楽業や製造業その他で20人以下です。
パソコンの購入に使えますか。
単体では使えません。インボイス枠で、インボイス制度に対応したソフトウェアとあわせて導入する場合のみ対象になります。補助率は2分の1、上限は10万円です。
生成AIツールは対象になりますか。
2026年度からAI機能付きツールが明確化されましたが、生成AIであれば自動的に対象になるわけではありません。支援事業者がAI機能を有するツールとして登録したものに限られます。
過去に採択されたことがありますが、また申請できますか。
通常枠は再申請できますが、過去の採択歴は審査上の減点対象になります。また、前年度の通常枠で交付決定を受けた場合、交付決定日から12カ月以内は通常枠に申請できません。過去に導入したソフトウェアと業務プロセスが完全に一致する場合は不採択となります。
助成金と併用できますか。
制度が異なれば併用できる場合がありますが、同じ経費に対して重複して受給することはできません。組み合わせを検討する際は事前の確認が必要です。
まとめ
デジタル化・AI導入補助金は、業務システムやレジ、会計ソフトの導入費用を最大450万円まで補助する制度です。ただし採択率は40%台で、支援事業者との共同申請やGビズIDの取得など、準備にも時間がかかります。
賃上げや正社員化の予定があるなら、まずは審査のない助成金から確認するほうが確実です。そのうえで設備投資の計画に補助金を組み合わせれば、投資の負担を大きく下げられます。どちらが自社に合うか分からない場合は、無料診断からご相談ください。
※本ページは2026年9月時点の公表情報をもとに作成した一般的な解説です。補助率・上限額・締切日・採択率は公募回ごとに変わります。申請にあたっては、デジタル化・AI導入補助金の公式サイトおよび最新の公募要領を必ずご確認ください。