飲食業

飲食業は、最低賃金の引き上げがそのまま人件費の増加に直結する業種です。パート・アルバイトの比率が高く、時給が数十円上がるだけで月の人件費が大きく動きます。

その賃上げを「コスト」で終わらせず、設備投資や人材定着の資金に変えられるのが助成金です。このページでは、飲食店で使える制度と、申請でつまずきやすい点を整理します。

賃上げ予定があるなら、業務改善助成金の申請期限にご注意ください。令和8年度の受付は2026年9月1日に始まり、締切は地域別最低賃金の発効日の前日または11月30日のいずれか早い日です。発効が早い地域では、残り期間がわずかです。

飲食業の3つの課題と、対応する制度

最低賃金の引き上げで人件費が膨らむ

時給を上げざるを得ない状況が続いています。この賃上げとあわせて厨房機器やPOSレジを導入すると、業務改善助成金の対象になります。どうせ上げる時給なら、設備投資の原資に変えるという発想です。

アルバイトが定着しない

採用と教育を繰り返すコストは軽視できません。長く働いているパート・アルバイトを正社員や無期雇用に転換したり、時給の基本設定そのものを引き上げたりすると、キャリアアップ助成金の対象になります。

店長・社員の負担が集中している

シフト作成、発注、締め作業、給与計算。店舗の事務作業は店長に集中しがちです。調理や接客の技能研修には人材開発支援助成金が使えますし、事務作業そのものはシステム化で減らせます。

飲食店で使える主な制度

制度名対象となる取り組み金額の目安
業務改善助成金時給を50円以上引き上げ、食洗機・POSレジ・オーダーシステムなどを導入する上限30万〜600万円
キャリアアップ助成金
(正社員化コース)
パート・アルバイトを正社員に転換する1人40万〜80万円
キャリアアップ助成金
(賃金規定等改定コース)
非正規雇用の従業員の基本給を引き上げる引き上げ率・人数に応じて
キャリアアップ助成金
(賞与・退職金制度導入コース)
パート・アルバイトに賞与や退職金の制度を設ける制度導入で定額
人材開発支援助成金調理・接客・衛生管理などの研修を実施する経費の45〜75%
デジタル化・AI導入補助金
(旧IT導入補助金)
インボイス対応ソフトとあわせてPOSレジ・タブレットを導入する上限450万円

業務改善助成金は要件を満たせば受給できる助成金、デジタル化・AI導入補助金は審査で採択された事業者のみが受け取れる補助金です。POSレジの導入を考えているなら、まず賃上げとセットの業務改善助成金から検討するほうが確実です。

賃上げを設備投資に変える考え方

業務改善助成金は、事業場内で最も低い時給を50円以上引き上げ、あわせて生産性向上につながる設備を導入した場合に、その設備費用の4分の3または5分の4が助成される制度です。

たとえば、こんなケース

時給1,010円のスタッフを含む5名の時給を70円引き上げ、食洗機とPOSレジ、オーダーシステムに合計200万円を投資。

・引き上げ前の時給が1,050円未満のため、助成率は5分の4

・200万円 × 4/5 = 160万円

・70円コース・4〜5人の上限額は130万円

低いほうの130万円が支給額の目安(要件を満たした場合)

賃上げは遅かれ早かれ必要になります。その際に設備投資を組み合わせれば、投資負担の大半を助成でまかなえる計算です。

設備を先に買うと対象外になります。業務改善助成金は、交付申請の後に賃上げを実施し、交付決定の後に設備を発注・納品・支払いする流れです。「良い厨房機器が見つかったので先に購入した」という理由で受給できなくなるケースが多く見られます。

パート・アルバイトの正社員化という選択

長く勤めているアルバイトを正社員にすると、キャリアアップ助成金の対象になります。勤続3年以上であれば重点支援対象者に該当する可能性があり、中小企業なら1人あたり80万円が目安です。

人手不足が続くなか、既存スタッフの処遇を改善して定着させるほうが、新規採用より確実でコストも読みやすいという面があります。

飲食業で申請がつまずきやすいポイント

  • パート・アルバイトが雇用保険に未加入。週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあれば加入対象です。未加入のままだと、多くの制度で対象者に数えられません。
  • シフトの記録が手書きやExcel。申請には対象期間の出勤簿と賃金台帳が必要です。記録に不備があると差し戻しになります。
  • 賃金の増額要件を誤って計算した。深夜手当や残業代は3%増額の計算に含められません。基本給と固定手当で判定します。
  • 賄いや食事補助の扱いが整理されていない。賃金台帳の記載が実態と合っていないと、確認に時間がかかります。
  • 会社都合の退職者が出ている。一定期間内に会社都合の離職者がいると対象外になる制度があります。

シフト管理のクラウド化が申請準備になる

飲食店の助成金申請でネックになるのは、制度の複雑さよりも記録の整備です。スタッフの入れ替わりが多く、シフトも日ごとに変わる業種では、数カ月分の出勤簿と賃金台帳を正確にそろえるだけでかなりの手間がかかります。

勤怠をクラウドで管理していれば、必要な期間の帳票をその場で出力できます。シフト作成や給与計算の時間も減るため、店長の負担そのものが軽くなります。

「リブオフィスクラウド」は、勤怠・給与・労務の管理をクラウド化しながら、助成金の申請に必要な書類を整えられるツールです。導入コストは0円で、制度選びから申請の進め方までは専門スタッフがサポートします。

飲食店で使える助成金を無料で診断

スタッフの雇用形態と賃上げ・設備投資の予定から、対象となる制度をご案内します。

無料診断に申し込む

相談から受給までの流れ

  1. 無料診断のお申し込み

    店舗数、スタッフの人数と雇用形態、賃上げや設備投資の予定をご入力ください。

  2. ヒアリング・制度のご提案

    担当者から連絡し、対象となりそうな制度と着手前に必要な手続きをご案内します。

  3. ツール導入・書類の整備

    勤怠と賃金の記録を整えながら、計画書や就業規則の準備を進めます。

  4. 取り組みの実施・申請

    賃上げや正社員化を計画どおり実施し、期限内に申請します。

よくある質問

個人経営の店でも対象になりますか。

なります。従業員を雇用し、雇用保険の適用事業所であれば、個人事業主でも申請できる制度が多くあります。ただし従業員を雇っていない場合は対象外です。

店舗が複数ありますが、まとめて申請できますか。

制度によります。業務改善助成金は事業場(店舗)ごとの申請で、同一事業主の年間上限は600万円です。キャリアアップ助成金は雇用保険適用事業所ごとの手続きになります。

アルバイトの時給を上げるだけでも助成金は出ますか。

賃上げだけでは対象になりません。業務改善助成金は設備投資とセット、キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースは賃金規定の改定が要件です。何とセットにするかで使える制度が変わります。

食洗機やPOSレジの購入に使えますか。

業務改善助成金の対象経費に含まれます。ただし賃上げが前提で、交付決定後の購入である必要があります。なお、エアコンの設置や内装工事など、職場環境の改善だけが目的の費用は対象外です。

今から申請して今年度中に間に合いますか。

業務改善助成金は申請期限が迫っているため、地域によっては難しい場合があります。キャリアアップ助成金は通年で申請できるので、そちらから着手する進め方もあります。無料診断でご確認ください。

まとめ

飲食業では、賃上げを設備投資に変える業務改善助成金と、スタッフの定着につながるキャリアアップ助成金が中心になります。どちらも取り組みを始める前の手続きが必要で、先に実行してしまうと受給できません。

時給の引き上げ、正社員への登用、厨房機器やレジの入れ替え。ひとつでも予定があるなら、動き出す前に無料診断でご確認ください。

※本ページは令和8年度(2026年度)時点の公表情報をもとに作成した一般的な解説です。支給額・要件・申請期限は変更される場合があります。申請にあたっては、厚生労働省および管轄労働局の最新情報を必ずご確認ください。