給与計算に毎月何時間かけていますか?作業時間の内訳と削減策

従業員20名規模の会社で、紙やExcelを中心に給与計算を行っている場合、毎月10〜20時間程度かかるのが一般的です。そのうち半分近くは、勤怠データの集計・転記・確認といった「計算の前工程」に費やされています。勤怠管理と給与計算をシステムで連携させれば、この前工程の大部分を削減でき、作業時間を数時間程度まで短縮できる場合があります。

この記事の要点

  • 給与計算の作業は「勤怠の集計」「支給額の計算」「控除額の計算」「確認・修正」「明細・振込・記録」の5工程に分かれる
  • 最も時間がかかるのは計算そのものではなく、勤怠データの回収・転記・確認という前工程
  • 毎月の作業に加え、住民税の更新(6月)、算定基礎届(7月)、年末調整(12月)など年間の繁忙業務がある
  • 作業時間を人件費に換算すると、見えないコストは年間数十万円規模になることがある
  • 属人化による「担当者が休むと給与が払えない」リスクは、時間以上に深刻な問題
  • 削減の第一歩は、勤怠と給与のデータを手作業でつながない仕組みにすること
目次

給与計算にはどんな作業があるのか

給与計算は、単に「給料を計算する」作業ではありません。毎月の工程を分解すると、次のようになります。

従業員20名、紙のタイムカードとExcelで管理している会社を想定した一般的な試算です。実際の時間は会社の状況により大きく異なります。
工程主な作業作業時間の目安
1. 勤怠の集計タイムカードの回収、打刻漏れの確認、残業・深夜・休日の時間集計、Excelへの転記4〜7時間
2. 支給額の計算基本給、各種手当、残業代、欠勤控除の計算2〜3時間
3. 控除額の計算社会保険料、雇用保険料、所得税、住民税の計算1〜3時間
4. 確認・修正前月との比較、計算ミスのチェック、差し戻しと修正2〜4時間
5. 明細・振込・記録給与明細の作成と配布、振込データの作成、賃金台帳の更新1〜3時間
合計10〜20時間

注目すべきは工程1の勤怠集計です。計算そのものより、計算に必要なデータをそろえる作業に最も時間がかかっています。打刻漏れの確認のために本人へ問い合わせ、返事を待ち、修正する。こうした往復が、作業時間を押し上げる最大の要因です。

毎月の作業に加わる年間の業務

給与計算には、特定の時期に集中する業務もあります。

時期業務
4月新入社員の登録、昇給の反映、雇用保険料率の改定反映
6月住民税の特別徴収額の更新
7月算定基礎届の提出、労働保険の年度更新
9〜10月標準報酬月額の改定反映、最低賃金改定への対応
随時月額変更届、賞与計算、入退社手続き
12月年末調整

これらの繁忙期には、通常月の2倍以上の時間がかかることも珍しくありません。年間を通して見ると、給与関連業務に費やす時間はさらに大きくなります。

自社の作業時間を計算してみる

簡単なセルフチェック

  1. 先月の給与計算で、タイムカードの回収から振込完了までに何時間かかったかを書き出す
  2. その時間に、担当者の時給(給与÷所定労働時間)を掛ける
  3. 社会保険料などの会社負担分として1.15倍する
  4. 12カ月分に、年末調整などの繁忙期の追加時間を足す

試算例

毎月15時間、担当者の時給換算2,000円の場合

・15時間 × 2,000円 × 1.15 = 月34,500円

・年間 34,500円 × 12カ月 = 414,000円

・年末調整などの追加30時間分 = 69,000円

年間およそ48万円が、給与計算の人件費

この金額には、経営者自身が確認に費やす時間や、ミスが起きたときの修正対応は含まれていません。経営者が給与計算を自ら行っている会社では、本来売上をつくるべき時間が毎月失われていることになります。

給与計算に時間がかかる5つの原因

1. 勤怠データを手で転記している

紙のタイムカードからExcelへ、Excelから給与ソフトへ。転記のたびに時間がかかり、入力ミスも生まれます。データが手作業でつながっている限り、作業時間は従業員数に比例して増えていきます。

2. 打刻漏れや修正が多い

打刻を忘れた、出勤時刻を間違えた、といった修正依頼への対応は、1件ごとに本人への確認が必要です。締め日の直前に集中するため、担当者の負担が偏ります。

3. 雇用形態や手当が複雑

正社員、パート、アルバイト、時給、日給、月給。手当の種類も多く、それぞれに計算ルールがあると、確認の手間が増えます。

4. 制度改正への対応が追いつかない

社会保険料率、雇用保険料率、最低賃金、税制。毎年のように何かが変わります。Excelで管理していると、これらの変更を手作業で反映する必要があり、反映漏れのリスクも伴います。

5. 特定の人にしか分からない

「この計算式は前任者がつくったもので、誰も中身を把握していない」という状態は珍しくありません。担当者が休めば給与の支払いが遅れ、退職すれば引き継ぎに数カ月かかることもあります。

給与の支払い遅延は、法律違反であると同時に、従業員の信頼を大きく損ないます。賃金は毎月1回以上、一定の期日に支払うことが労働基準法で定められています。属人化は、作業時間の問題である以上に、事業継続のリスクです。

作業時間を減らす4つのステップ

  1. 業務を棚卸しする

    まず、毎月の作業を工程ごとに書き出し、それぞれに何時間かかっているかを把握します。どこに時間を使っているかが分からなければ、どこを改善すべきかも判断できません。

  2. 勤怠の打刻を客観的・デジタルにする

    紙のタイムカードや手書きの出勤簿をやめ、ICカードやスマートフォンで打刻する方法に切り替えます。打刻漏れのアラート機能があれば、締め日前の修正対応も減ります。

  3. 勤怠と給与をシステムで連携させる

    最も効果が大きいステップです。勤怠データが自動で給与計算に取り込まれれば、転記作業がなくなり、工程1の大部分が削減されます。社会保険料率や税率の改定もシステム側で反映されるため、制度改正への対応負担も減ります。

  4. 明細・振込をペーパーレス化する

    給与明細をWebで配布し、振込データを自動で作成すれば、印刷・封入・配布の手間がなくなります。賃金台帳も自動で蓄積されます。

選択肢ごとの比較

方法向いている会社注意点
Excelで自作従業員が数名で、雇用形態が単純属人化しやすく、制度改正の反映を手作業で行う必要がある
給与計算ソフト単体給与計算の担当者がいる勤怠データの転記が残るため、前工程の負担は減らない
勤怠と給与の連携クラウドパート・シフト制が多い、拠点が複数ある初期設定と社内への定着に一定の手間がかかる
外部委託社内に担当者を置けない勤怠データの取りまとめは社内に残り、委託費用が継続的に発生する

外部に委託しても、勤怠データの回収と確認は社内の作業として残ります。前工程を自動化しない限り、どの方法を選んでも作業時間の削減には限界があるという点は押さえておくべきでしょう。

削減した時間で、何ができるか

給与計算の時間を毎月10時間削減できれば、年間で120時間が生まれます。1日8時間で換算すると15日分です。

  • 経営者であれば、営業や商品開発など売上をつくる仕事に充てられる
  • 事務担当者であれば、採用や教育など付加価値の高い業務に移れる
  • 残業が減れば、残業代と社会保険料の両方が下がる
  • 整った記録があれば、助成金の申請準備にすぐ取りかかれる

最後の点は意外に大きな効果があります。助成金の申請では、対象期間の出勤簿と賃金台帳の提出が求められます。給与計算の仕組みが整っていれば、その書類はすでに手元にそろっている状態です。

業務システムの導入にはデジタル化・AI導入補助金が、賃上げとあわせた設備・システムの導入には業務改善助成金が使える場合があります。いずれも導入前の手続きが必要です。

「リブオフィスクラウド」は、勤怠・給与・労務の管理をクラウドで一元化するツールです。導入コストは0円で、スマートフォンからの打刻、シフト制や直行直帰の勤務にも対応しています。勤怠データがそのまま給与計算に連携されるため、転記作業がなくなります。

給与計算の効率化と、使える助成金を無料診断

現在の管理方法と従業員数から、効率化の余地と対象となる制度をご案内します。

無料診断に申し込む

よくある質問

給与計算には毎月どのくらいの時間がかかりますか。

会社の規模や管理方法によって大きく異なりますが、従業員20名規模で紙やExcelを中心に管理している場合、毎月10〜20時間程度が一般的な目安です。勤怠と給与がシステムで連携していれば、数時間程度まで短縮できる場合があります。

給与計算で最も時間がかかる作業は何ですか。

勤怠データの集計・転記・確認です。計算そのものよりも、タイムカードの回収、打刻漏れの確認、残業時間の集計、給与ソフトへの転記といった前工程に多くの時間が費やされます。

給与計算ソフトを導入すれば作業時間は減りますか。

計算の工程は減りますが、勤怠データを手作業で入力する必要があれば、前工程の負担は残ります。作業時間を大きく減らすには、勤怠管理と給与計算をシステムで連携させることが重要です。

給与計算を外部に委託すれば社内の作業はなくなりますか。

なくなりません。勤怠データの取りまとめや確認、委託先とのやり取りは社内に残ります。また委託費用が継続的に発生します。

従業員が数名でもシステム化する意味はありますか。

あります。人数が少なくても、制度改正への対応、属人化の防止、記録の整備といった効果は同じです。特に、将来的に助成金を申請する予定がある場合は、出勤簿と賃金台帳が整っていることが前提になります。

給与計算のシステム化に使える補助金はありますか。

給与・労務管理のソフトウェアは、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象プロセスに含まれます。ただし補助対象は事務局に登録されたツールに限られ、審査による採択が必要です。

まとめ

給与計算に時間がかかる最大の原因は、計算そのものではなく、勤怠データをそろえる前工程にあります。従業員20名規模で毎月10〜20時間、人件費に換算すると年間数十万円のコストになることもあります。

作業時間を減らす鍵は、勤怠と給与のデータを手作業でつながないことです。打刻をデジタル化し、給与計算と連携させれば、転記と確認の作業が大幅に減ります。削減した時間は売上をつくる仕事に回せるうえ、整った記録は助成金の申請にもそのまま使えます。

自社の管理体制でどこまで効率化できるか、使える支援制度があるかは、無料診断でご確認いただけます。

※本記事の作業時間は一般的な試算であり、実際の時間は会社の規模、雇用形態、管理方法により異なります。給与計算や社会保険の手続きに関する個別の判断は、社会保険労務士等の専門家にご確認ください。

目次